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「おお、ちづる君。としぞうに遊んで貰っていたのか」
「近藤さん、お帰りなさい!」
「ああ。すまないがちょっとこちらに来てくれるかい?」
「はい!としぞうさん、すぐ戻ってくるので紙風船膨らまして待っててくださいね」
「お、おお……」

「さ、まずは右足から私の方に出してごらん」
「右足…………はい」
「……よし、これでいいぞ。ちょっと歩いてみてくれないか」
「はい! うわぁ……すごーく歩きやすいです!」
「そうか。これなら皆と鬼ごっこする時にもいいだろう」
「はい! もう鬼になりません!」
「ハハ、そうかそうか。いやこれだけ喜んでくれれば、買ってきた甲斐があるというもの」
「近藤さん、これ何ていう履物なんです?見たとこへーすけ君のに似てるけど」
「ん、これか?これは『さんだる』という元は西洋の履物なんだ」
「さんだる……貰ってもいいんですか?」
「勿論、それはちづる君のために買って来たんだ。そうそう、脱ぐ時はいつでも呼んでくれ」
「はい、ありがとうございました!」


◇◆◇


「なぁ、メシまだ?」
「……へーすけ、ちゃんと座れ」
「だってさぁ、俺もう腹ぺこぺこ」
「ねぇ、あの子はどこ行ったの?」
「あの子ってのは、ちづるちゃんの事か?」
「そう。だってほら、今日はあの子の好きな野菜の炊き合わせなのに」
「そういや、あいつこういう野菜のおかずの時は、俺らに負けねぇくらい早く席に着いてるな」
「でしょ?」


◇◆◇


「あれ?ちづるちゃん、こんな所でどうしたの?皆もう広間に集まってるけど」
「……脱げません」
「脱げないって……ああ『さんだる』。近藤さんは?脱ぐ時呼べって言ってなかった?」
「…………いません」
「散歩かな。しょうがないね。足、片方ずつこっちに出して」
「………………すみません」


……さんだるが(´;ω;`)ウッ


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